A Map for Peace of Mind
4児の父がFP3級の地図で削った固定費
子どもが増えるほど、不安は大きくなる。
でも、保険は「増やす」ではなく「減らす」を選んだ。
金額ではなく、考え方で固定費を軽くした記録。
この記事でわかること
Chapter 01
4人目が生まれたとき、まず頭をよぎったのは「保険、足りているだろうか」だった。子どもが増えるたびに、「もしものとき、この子たちを守れるのか」という不安は確実に大きくなる。
不安なときの自然な反応は、保険を増やすことだ。安心を、お金で買い足したくなる。でも一度立ち止まった。「不安だから増やす」は、本当に正しいのか。増やせば、固定費も増える。毎月、確実に出ていくお金が、家計に重く積み上がっていく。
固定費は、一度見直すと効果がずっと続く。
だからこそ、感情で足し算する前に、一度ちゃんと棚卸しする価値がある。
ちょうどFP3級を学んでいた時期だった。お金の体系的な地図を手にして、その地図を頼りに、保険と固定費を全部見直してみることにした。結果として、家計はスッキリし、不安はむしろ小さくなった。順を追って書いていく。
Chapter 02
FP3級を学んでいちばん効いたのは、「自分はもう、かなりの保険に入っている」という気づきだった。民間の保険にではない。公的保障という名の、入りっぱなしの保険にだ。
会社員や、その家族には、知らないうちに効いている公的な備えがある。代表的なものを挙げると、こうなる。
高額療養費制度
医療費が1か月で一定額を超えると、超えた分が戻ってくる。大きな病気でも、自己負担には上限がある。
遺族年金
働き手に万一のことがあったとき、残された家族に年金が支給される。子どもが多いほど手厚くなる仕組みがある。
傷病手当金
病気やケガで働けなくなったとき、一定期間、収入の一部がカバーされる。「働けない間」の備えがすでにある。
育児期の給付(育児休業給付など)
育休中の自分にとっては、これも「働けない期間」を支える公的な備えだった。制度は近年も拡充されている。
これらは全部、「すでに入っている保険」だ。民間保険を検討する前に、まず公的保障でどこまでカバーされているかを知る。すると、民間で本当に埋めるべき「穴」は、思っていたよりずっと小さいと分かる。
FP3級の6分野は、この公的制度を体系的に教えてくれる。資格そのものより、この「地図」が手に入ることに価値があった。地図の話は別の記事(FP3級で学ぶ、一生モノのお金の教養)に書いた。
Chapter 03
保険だけ見ても、家計の全体像は見えない。そこで、固定費を6つのカテゴリに分けて棚卸しした。一気に全部やろうとすると挫折するので、箱に分けるのがコツだ。
| カテゴリ | 見直しの着眼点 |
|---|---|
| 通信 | 使っている量に対して、プランは合っているか |
| 保険 | 公的保障と重なっている部分はないか |
| 車・移動 | 維持費に見合う使い方をしているか |
| 住居 | 大きい固定費。動かしにくいが、影響も大きい |
| サブスク | 惰性で続いている、使っていないものはないか |
| 光熱 | 契約プラン・基本料を見直す余地はあるか |
固定費の怖さは、一度契約すると意識から消えることだ。毎月自動で引き落とされ、見直されないまま何年も続く。「気づいたら払い続けていた」が、固定費では当たり前に起きる。
逆に言えば、ここが効きどころだ。変動費(食費や娯楽)を毎日コツコツ我慢するより、固定費を一度直すほうが、家計へのインパクトが大きく、しかも長く続く。一回の見直しが、何年も効くのだ。
Chapter 04
手をつける順番は、「効果が大きく、生活の質を落とさないもの」からと決めた。我慢を増やすのではなく、気づかず払っていた無駄を消すイメージだ。
まず通信から始め、次にサブスク(使っていないものの解約)に手をつけた。保険は、公的保障を棚卸ししたうえで、重複している部分を薄くした。「不安だから」で入っていたものを、「この穴は公的保障で埋まっている」と確認できたものから外していった。
ここで大事なのは、削らなかったものもあることだ。残した保険には、ちゃんと理由がある。保険を残すかどうかは、「不安の量」で決めない。次の2つの軸で決めた。
残した
公的保障では埋まらない、かつ、起きたら家計が傾くリスク(働き手が長期に働けなくなる等)。ここだけは民間で備える。
薄くした
公的保障と重なっている、または、起きても家計が傾かない範囲。安心料として払いすぎていた部分。
この2軸で仕分けると、判断が感情から離れる。「怖いから全部残す」でも「節約だから全部切る」でもない。埋まっていない穴にだけ、保険を充てる。結果として、家計全体の固定費は1割ほど軽くなった。それでいて、守りはむしろ前より明確になった。
Chapter 05
見直しは一度で終わりではない。家族構成も、制度も、契約も変わる。とはいえ、毎回ゼロからやり直すわけでもない。一度「箱に分けて棚卸しする」型を作ってしまえば、次からは差分を見るだけで済む。
自分の場合、家計をClaudeで可視化したとき、固定費の内訳が一枚の図になった。どのカテゴリが重いか、一目で分かる。数字を眺めて悩む時間がなくなり、月次の見直しは10分ほどで終わるようになった。可視化の話は別の記事(家計をClaudeで"全部見える化"した話)にまとめている。
自分のスタイルは
読む → 試す → 仕組み化
一度直して、放っておいても効く状態を作る。
努力で我慢し続けるのではなく、効き続ける仕組みにしてしまう。固定費の見直しは、その仕組み化がいちばん素直に効く領域だった。一回がんばれば、あとは効き続ける。
Chapter 06 — むすびに
保険の見直しでいちばん難しかったのは、数字より気持ちのほうだった。「減らす」という言葉には、どうしても不安がつきまとう。
妻テストで言うと
「保険を減らす」と切り出すと、最初は不安がられる。だから金額の話から入らない。「これは公的制度でここまで守られている。だから民間で備えるのはここだけでいい」と、守られている範囲を二人で一緒に確認した。範囲が見えると、減らしても怖くなくなる。
不安は、煽るものではなく、分けるものだ。「すでに埋まっている不安」と「これから埋めるべき不安」を分ける。分けてしまえば、向き合う相手はぐっと小さくなる。漠然とした「もしも」が、具体的な「ここだけ」に変わる。
家族を守るのは、保険の本数ではない。
何に、どう守られているかを知っていること。
FP3級は、その地図をくれた。地図さえあれば、不安は減らしても、ちゃんと守れる。4児の父として、いま実感していることだ。