これは 「AIエージェントとは何か ─ 自律性のグラデーションで読み解く」 の補足カタログです。定義・自律性5段階・選び方・活用の思考法は本編へ。価格やリリース日など動きの速い情報をこちらに分離しています。
その他の注目エージェント
本編で挙げた主要4つ(Deep Research・Manus・Cowork・OpenClaw)以外にも、知っておくべきエージェントは多い。「どんな領域をサポートするか」の観点で5カテゴリに整理した。
AIがブラウザを直接操作し、リサーチ・フォーム入力・予約・買い物などをWeb上で自律実行する。「独立ブラウザ型」と「拡張機能型」の2形態があり、既存のWeb体験に最も近いためエージェント入門としても有力。自律性スペクトルではLv.3〜Lv.4。
独立ブラウザ型
Atlas(OpenAI)
Chromiumベース。Agent Modeで自律実行、ブラウザメモリで文脈記憶。無料〜Plus $20/月。macOS先行。
Comet(Perplexity)
Perplexityのリサーチ能力をブラウザ操作と統合した独立ブラウザ。
拡張機能型
Claude in Chrome(Anthropic)
ページ読み取り・ナビゲーション・フォーム入力・スケジュール実行。CoworkとのWeb調査→資料作成連携が強力。
Project Mariner(Google)
WebVoyager 83.5%(single-agent構成で首位)・並列10タスク対応。2026年5月に終了し、技術はGeminiやChromeのauto-browseへ統合された。
2024年に「世界初のAIソフトウェアエンジニア」として登場。コード作成・テスト実行・PR作成まで自律実行する。エンジニア職の未来を議論させるきっかけになった製品。
実務でエージェントを自作するときに最も広く使われているフレームワーク。ツール呼び出し・メモリ・マルチエージェント協調の仕組みを提供する。「使う」より「作る」側に立つなら必修。
Teams・Outlook・SharePointなど既存のM365環境に組み込まれたエージェント群。2026年3月9日、Copilot Wave 3として「Copilot Cowork」を正式発表。Claude Coworkの技術を統合し、メール・会議・ファイルを横断したマルチステップタスクを自律実行する。Microsoft 365の上位エンタープライズライセンス向けに提供され、統合スイートのE7($99/user/月、5月開始)にバンドル。
Googleが実験段階で公開するビジネス向けエージェント群。Google Workspace利用者に身近。
CC(Creative Companion) ── Gmail・Calendar・Driveを接続し、毎朝「Your Day Ahead」ブリーフィングをメール配信。返信でカスタムリクエストも可能。米国・カナダで早期アクセス中。
Opal ── テキストプロンプトだけでワークフロー自動化アプリを構築できるノーコードツール。Gemini 3 Flashが目標を理解して最適なツールを自動選択する。Zapier・Power Automateの競合。
Pomelli ── WebサイトURLを入力するだけでブランドDNAを自動抽出し、SNSキャンペーン素材を一括生成するAIマーケティングエージェント。無料。
「エージェント同士がどう連携するか」「Webサイトがエージェントにどうサービスを提供するか」という基盤レイヤーの標準化が急速に進んでいる。2025年12月にLinux Foundation傘下でAgentic AI Foundation(AAIF)が設立され、Anthropic(MCP)・OpenAI(AGENTS.md)・Block(goose)が中核プロジェクトを寄贈して創設、Google・Microsoft・AWS等はプラチナ会員として参加。3層のプロトコルスタックが業界コンセンサスになりつつある。
MCP(Model Context Protocol)── 「エージェントのUSB-C」
Anthropicが開発しLinux Foundationに寄贈。エージェントが外部ツール(DB・API・ファイルシステム等)と接続するための標準規格。SDKは月間9,700万ダウンロード超(Linux Foundation寄贈発表時の公表値)。
A2A(Agent-to-Agent Protocol)── 「エージェントのHTTP」
Googleが2025年4月にリリース。エージェント同士が能力を発見し、タスクを委任し、状態を同期するための通信規格。100社以上が支持。マルチエージェント協調の基盤。
WebMCP(Web Model Context Protocol)── 「WebのMCP拡張」
2026年2月にChrome 146 Canaryに搭載。WebサイトがAIエージェントに直接ツールを公開できる、W3Cで標準化が進む提案仕様(Community Group Draft段階)。スクレイピング不要になる。Google・Microsoft共同開発。
Web系エンジニアへ:「WebサイトはAIエージェントが使うもの」へのパラダイムシフトを象徴している。WebMCPへの対応が今後のキャリアに直結するテーマになる可能性が高い。
※ このプロトコル群の記述は2026年6月時点の確認内容。標準化は月単位で動くため、最新仕様は各公式ドキュメントを参照。
「AIが自分でゴールを目指して動く」というコンセプトを最初に世に示したOSSプロジェクト。実用性より衝撃性で業界の方向を変えた歴史的存在。現在も開発継続中。
カメラで現実世界を認識し、ブラウザ操作技術(旧Project Mariner系)と連携して物理・デジタルを横断するタスクを実行する「ユニバーサルAIアシスタント」の研究プロジェクト。2026年中にGeminiアプリへ統合予定。Lv.5に最も近い現実的な試みのひとつ。